パパは幼なじみ
「早紀ちゃんと一緒ならコンビニに寄るかもしれないと思って一度入ったんだ。その時すれ違ったのかもしれないな。」

電話を受けて帰ってきた拓人は少し汗をかいているようだった。

「おつかれさま。ご飯の前にお風呂に入る?」
「うーん。そうしようかな?」
「じゃあ、お湯加減みてくるわね!」

ママがお風呂場に小走りで向かう。玄関には私と拓人が残された。


「ちゃんと連絡しろよ?心配すんだろ。ま、無事で良かったけど。」
「ごめん…」
「でも早紀ちゃんも頑張るよな。昔っから空手一筋で。」
「そう…なんだよね。こんなに遅くまでさ。」

この話ぶりだと、拓人は早紀ちゃんと帰ってきたと思っているみたいだ。
良かった。徹くんのこと見られてないみたいで……ん?良かった?

そういえば、どうして拓人に見られちゃいけないと思ってるんだろう。
拓人と私は親子で、付き合っているわけでもない。だからバレたって、問題はないのに。
そもそも昨日、どうして拓人はあんなに怒ったの?

「あの、拓…」
「お風呂ちょうどいいわよー!」

ママの大声が家中に響き渡った。
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