パパは幼なじみ
教室に入ると、いつものように席についている徹くんがいた。
つい最近まで気にしたこともなかったのに。

姿を横目で見ながら自分の席についた、と同時に後ろから羽交い締めにされる。

「ち、ちょ…っ」
「ま~なちゃん。昨日のお話の続き、しましょ?」
「早紀…なんで羽交い締め…?」
「逃げられないよ~?片倉ちゃんの押さえ込みは宇宙一だもんね~!」
「押さえ込みじゃ…ないから…」

体勢が苦しくなってきた。早紀、そんなに話聞きたいの?別に逃げる気ないのに。空手部エースだって自覚してる?腕、折れそう…。


キーンコーンカーンコーン ×4


タイミングよく8時5分、朝学習開始のチャイムが鳴った。

「もう。真奈、今日学校くるの遅いから!」
「片倉ちゃ~ん!またお昼休みにしよ~?」
「そだね。あ、忘れてた!おはよう、真奈!」
「おは…よ…う」

今さらあいさつって…
とりあえずチャイムのおかげで余命が延びた。
あとはお昼休みが永遠にこないことを願うだけだ───
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