パパは幼なじみ
チャイムがお昼休みの終わりを告げ、私たちはそれぞれの席についた。
午後の授業は、あまり頭に入らなかった。


“真奈が言った通り、拓人さんは既婚者なんだよ?それに今は林田がいるんでしょ?見守ろうと思ったけど、やっぱり言っとく───”


「これじゃ誰も幸せになれない…か。」

席に戻る直前に言われた言葉が頭の中をグルグルまわる。
早紀の言っていることはよく分かる。私もそう思ってる。でも…


「真奈ちゃん、今日は一緒に帰れるんだよね」
「へっ!?あ、あぁ、徹くん…」

気がつくと放課後で、徹くんが私の席まできていた。

「真奈ちゃん、今日はとおるんと帰るの~?ざんね~ん!明日は一緒に帰ろうね~!片倉ちゃ~ん、行こ~!」
「うん。じゃあね、真奈。」
「…じゃあね」

教室を去ろうとした2人だったが、早紀が足を止め、徹くんに近づいた。

「林田!」
「どうしたの?片倉さん…」

早紀が徹くんの耳もとで何かを呟いた。

「大丈夫だよ、片倉さん」
「それじゃ」
「早紀!何を話したの?ねぇ、徹くん!」

その質問には誰も答えてくれず、早紀は不思議そうな顔のありさを連れていき、私も“行こう”と促され、教室を後にした。
< 84 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop