パパは幼なじみ
「あぁーおいしかった!ごちそうさま。」
「パンとスープ、やっぱり合うわねぇ!」

朝ごはんを終えたママと拓人は満足げな会話をしている。確かに味も組み合わせもいいと思う。でも私はこの朝ごはんが嫌いだ。


“日本人なら白い飯とみそ汁だ!!”


日本人であることに強い誇りを持っていたパパの口癖のような言葉。ママは“そうね”と笑いながら、その言葉通りの朝ごはんを作っていた。

本当のパパとの朝の思い出は、新しいパパの望む朝ごはんとともに消えていってしまった。私たち家族の歴史は、食後のコーヒーの湯気のようにユラユラと見えなくなっていく。


ぽちゃん

「ブラックばっかり飲まないの!体に悪いわ。」

勝手に角砂糖をいれられた。コーヒーの黒は色を薄めていく。急に入ってきた家族に昔の家族は塗りかえられていくようだった。
< 9 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop