パパは幼なじみ
徹くんは、ゆっくり語った。私たちのドリンクは、すでにぬるくなっていた。


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 「3月16日?」
 「おう、その日に行く。でっかいトラック
  くるんだぜ!」
 
 明正は車が好きだったから、少し興奮して
 た。

 「じゃあ、その日に言うんだね…?」
 「そうなるな。ありさ、なんて言うかな。」

 僕は頭の中で引っ越しの日にちを繰り返し
 てた。絶対に阻止しなきゃって…


 「あっき~!とおる~ん!遊ぼ~!!」
 「おう、何する?」
 「お引っ越しごっこ~!あっき、行っちゃ
  うんでしょ…?いつ~?」
 「…まだ決まってないんだ」
 「ふ~ん。…遊ぼ~?」

 どうしてありさにはすぐ言わないのか、そ
 の時は分からなかった。

 ありさが帰った後、明正は言った。

 「俺の引っ越す日さ、徹からありさに伝え   てくれよ」
 「え?明正から言えば…」
 「なんか恥ずかしくなった」

 明正は照れくさそうに、はにかみながら言
 った。“好きって言うことは内緒な”って
 明正は家に帰っていった。
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