まだあなたが好きみたい

+俺のリアルが消えていく




授業中。



匡はさきほどのしょうもないやり取りを思い返しながら、なんだかなぁという科白をもう何遍も頭の中で繰り返し、それこそ柄にもない、惨めな気分に浸っていた。




俺って、あんな女に好意を寄せられるような男なんだ……。




それというのはつまり俺が、彼女から、甚だ不愉快なことに、自分の類だと思われているということだろう。




軽薄で、自分さえ楽しければよくて、いつだって目先のことしか見ていない、みたいな。


だからあんな中身の薄い話しかできなくなる、みたいな。じゃん。じゃん。




あれで俺が落ちると思われていることが、へこむ。




思えば、まあ……中学から彼女と雰囲気の似た相手からの誘いはいくつかあったけれど、今回ほど立ち直れなくなりそうに打ちのめされたことはない。




しかめ面が険しさを増していく。






(俺、そんときって、どんなふうに振舞ってたっけ? てか、どう感じてた?)






昔の感覚が思い出せない。




< 103 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop