まだあなたが好きみたい
てことは、つまり別にどうとも思ってなかったってことだろ。
たぶん、ただ女子にモテているという実感さえ味わえれば、あとはとくに、たとえば相手の人となりなんて、さしたる問題じゃなかったんだ。
……だが、今は。
トントントントン。
無意識に人差し指が机をたたく。
トントントントントン。
あーいらいらする。
あの程度の女から気持ちを寄せられている俺って……俺の評価って……あーくそ、無性に腹が立ってきた。
勘弁しろよな。怒るって空腹に直結するんだから。
早くバスケしてぇ。
「――わ、くぼかわ、窪川ッ! 聞いてるのかおまえさっきか」
「うっせぇなハゲ―――――……て、ないですね、せんせい……」
マックスで苛々しているところに声をかけられ、つい短気の自分が顔を出してしまった。
凍りつく教室。
俺の顔からも負けじと血の気が引いていく。
反対に、先生の顔はみるみる真っ赤になった。
剣道部で顧問を任せられている先生は、近頃、額の後退を極度に案じており、日々気の毒なほど慎重に面をつけているという話を剣道部の友人に聞いたばかりだった。
その友はといえば、自業自得とはいえ友人が地雷を踏んだというにもかかわらず、机に伏して、苦しそうに腹を抱えている。