まだあなたが好きみたい
「……ああ、そう。じゃあなんなの」
菜々子の語気に、辟易と凄みが加わったことに窪川は気づかず、またしても沈黙した。
「わかんないの?」
「わかんねぇよ。わかんねぇけど、けど、このまま、面倒くさいで終わるのは嫌なんだよ。……なんとかしろ!」
菜々子は唇を引き結んだ。
なんとかって、なんだ。
好かれたくないくせに、否定的な見方をされ続けるのは納得がいかないなんて、自分大好きか。
(ちがう)
そうじゃない。
またしても都合のいい期待が首をもたげる。
やめろ、安易に夢を見るな。
でも。
ほんとうにそうじゃないのとしたら――。
裏の裏は本当だ。
頭痛がする。
なんとかしろ!
頭の奥、声が響いた。
「面倒でも、それが、その、窪川くんが気にさせるような行動をするのが面倒っていうのも、ある」