まだあなたが好きみたい

+寒さを凌駕する、熱



(ああ痛ぇ)



風が当たるだけでじんじんと痺れる。


なにも同じところ叩かなくたっていいだろ。


暴力反対。怪力ブス。もう一発食らってたら間違いなく何本か歯、いってんな。


ひとりごちながら匡は殴られたところを慎重に撫でさする。





(でも、俺もマジでどうかしてる)





不覚だった。


そしてなんとも不本意だ……。



あんな、つま先から脳天まですっぽりベールに包まれたみたいになって、気分は自分を俯瞰してる感じでおぼつかなくて、……とにかくどうにもたまらなかったあの感覚。



今でも思い出すだに胸が絞られ、身体がきゅっと縮まって、そのたびに頬の痛みを数刻忘れる。



そして風に吹かれて殺人的に思い出す。




(けど、あいつだって悪いよな)




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