まだあなたが好きみたい
4.今年の冬は特に寒い
翌日。
明日から試験休みということもあり、普段より熱の入った練習が決行される中、整体で慣らしてきたばかりの匡は身体を労われという監督からの指示どおり、同じメニューをこなしつつもその実ずいぶんと手を抜かせてもらっていた。
外周中、通りすがりの女子高生からいちいち好奇な視線を注がれるのが不愉快だったが、自分の世界に入ってしまえばどうということもなかった。
見るなら見ろ、笑いたければ笑うがいい。
いっそ開き直って匡はメニューに没頭した。
部内の面々は空気を読み、問題の箇所については強いて触れないようにつとめてくれている。
お調子者で気安い先輩たちもさすがに口に出せない様子だった。
それもそうだ。なにせこれだけの存在感があるものを面と向かって指摘して、たのしい話題にできるほど心臓に毛の生えたやつなんてそういない。
と、今の今まで、俺は思っていた――。
が、しかし。
「あーっはっはっはっはははっは!! なんだそのふざけたツラはっ! はーっはっはっはっはっは! これぞまさに日ごろの行いがどうのってやつだな! あっはっはっは!」