まだあなたが好きみたい
俺を見て、指差し、腹を抱えて呵呵大笑するこの男……本来ならばこんなところにいるはずのないやつだ……しかも自分の学校の制服で……。
匡は青筋を立てて憤怒にふるえた。
バスケ部が指定されている第二体育館の非常口前。
格好も言動も場違いきわまりないそいつに、周りなどはなから見えてはいない。
同じ注目の的でも、こいつは完全に毛色がちがった。
皆の目が一様に引いている。
現に冬真っ盛りで何もしなくても寒い空気がさらに寒々しく俺たちを取り巻いている。
おそろしく不本意な状況だ。
「有正……てめぇ……ひとの学校来てよくもそんな――」
「やー、傑作傑作。涙が出ちゃうね。記念に写メ撮っとこうかな。あれ、どこだ携帯。ははっ、指先がふるえて掴めないよ。うける」
刹那、頭の中で何かが切れるような音がした。
「このやろう。ちょっと来い!」
「えっ、なにするの。乱暴はやだよ。ぼく喧嘩ってしたことないんだから。てか、こんなことするほうが余計目立つとおもうんだけどー」
「やかましい!」
匡は叫ぶと、問答無用で有正を体育館の裏側まで引っ張ってきた。