まだあなたが好きみたい
引きずられる間もああだこうだと言いながら、それでも現状を愉しんでへらへらしているのだからほんとうに腹が立つ。
「何しに来た。今すぐ帰れ、とっとと出て行きやがれ」
匡はのっけから牽制球を投げた。
……効くはずもないとわかりながら。
これくらいしないとやってられない。
「何しに? わかんないの?」
引っ張られてはみ出たシャツを無造作に直しながら有正はきょとんとした。
「笑いに来たのか」
有正は満足そうにうなづいた。
「さすがに察しがいいね」
「そこはうそでもちがうよって言うところだぞ。あいかわらずだな、そのムカツク性格」
「ムカツク? でもそれって主観的な話でしょ? それならおまえだけかもしれないよね」
「は」
こういうのが嫌われる原因だって気づいてないところがもう、いやんなる。
「まあでも、笑いに来たのは本当だけど、あくまでそれはついでね。本当の目的は部活の用事で、こっちの先生に意見をもらいたくてきたの。ちょうどいいから菜々ちゃんの特大ビンタを拝んでおこうと思って。こんなのきっとこの先一生お目見えできないよ」
「なんでだよ。だから撮るんじゃねぇッ」