まだあなたが好きみたい
その瞬間、有正は俺の言葉をさえぎるようにびしっと人差し指を差し向けると、
「次、菜々ちゃんにひどいことしたら、今度こそ命がないと思え!」
と強い口調で言われ、匡は思わずのけぞった。
……や、やっぱりそういう展開なのかよ!
思わぬ宣戦布告に不覚にも気圧された匡は腹に力を込め、言い返そうとしたが――。
「って、今朝菜々ちゃんが鬼のような形相で俺に愚痴ってたもんねっ!」
は? と匡はよろめいた。
なんだって?
目を瞬く。なんだ、この、ものすごい肩透かし感。
「わかった!?」
「わか、いや、……それは、あれか? 俺の行動如何によっては、俺が、あいつに、殺されるって、そういうことか?」
「そうだよ。本気の菜々ちゃんはきっとすごーくこわいよ。ぼくも想像が追いつかないなぁ、だってぼくにはいつも優しい菜々ちゃんだから――あっ、シラリン!」