まだあなたが好きみたい
振り向きざま、これまでになく鋭い視線が飛んできて、匡はおもわず息をのむ。
俺に向けられる視線はいつも友好的なそれではなかったが、さりとてここまで嫌悪を剥き出しにしてきたことはなかった。
白井は小刻みにふるえながら、
「おまえのそういう態度と振る舞いがッ……! そういうふうにしか人を見れないから、推し量れないから、だから有正にだっておちょくられるんだ。エースのくせに……!」
今にも泣きそうに紅潮し、なおも白井は言い募る。
「エースだから許されるとか、こういう態度が大将っぽいとか思ってんだったら他所へ行け。俺らはそういうチームじゃねぇ! 思い上がんのも大概にしろよ!」
「……うおっ!」
溜めに溜めた鬱憤を撒き散らし、匡を突き飛ばしかねない勢いで白井は更衣室を出て行った。
「な、なんだったんだ、あいつ」
ふたたび一人になった更衣室で匡はロッカーに向き直った。
なんてことはない。
そんなふうに思われていることなんて百も承知で、そう思われて突き放されるならむしろ本望。俺のほうが上だと認められている証拠だと肯定的に受け取っていた。
誰も面と向かって本人に言わないことを言われただけのことだ。
気にするほどのことじゃない。
それなのに――……。
機械的に、脱ごうとシャツの裾を掴んだところで、匡はいきなり身動きが取れなくなった。
目頭が熱い。
噛みしめた奥歯が鈍い音を洩らす。
(……なんだよ)