まだあなたが好きみたい



なんだよなんだよなんだよ。



何で俺がそこまで言われないといけないんだよ。



俺はエースだ悪いか。一年だけどちゃんとそう呼ばれるに足る成果を上げてるだろ。


ちょっと鼻につくからってそこまで言われることかよ。


だいたい、俺らはそういうチームじゃないって、どういう意味だよ。


監督は俺でいいと思ったから起用してくれんだろ。



その采配にケチつけんのはどういう了見なんだよ。




「くっそ!」




がん、とロッカーを蹴りつけた直後、その音を聞きつけたのか、あわてた様子で夏原が更衣室に駆け込んできた。



乱れた匡に目を留めて、夏原は瞠目する。





「どうした窪川」





名前を呼ばれ、不自然なほどおおきく肩がふるえた。



しまった。……つい、やってしまった。頭に血が上りすぎた。



つまらないやつだと思われただろうか。


むしゃくしゃして物にあたるなんて、どんだけ狭量なんだ、俺。



こんなことではいけない。エースは、エースらしくいないとだめなんだ。それがいやだといま白井になじられたばっかじゃんか。嫌われるエースなんて及第点なのに、どうしてこんなことになってるんだ、俺は――……っ!


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