まだあなたが好きみたい
でも実際、俺に思うところがあるのではないのかと匡は折節に考える。
それなのに、おくびにも出さない夏原にはほんとうに感謝している。
いつか一緒のコートに立って試合がしたい、そう思わせてくれる存在にまで大きくなっている。
「ところで、マジでそのほっぺた、どうしたん?」
「……ちょっと、迷走してな」
「女?」
「わかるか?」
「はは、まーね」
匡は悔しそうに湿布に触れる。
「でも、悪くないよ。なんか、窪川もふつうの人だーって感じする」
「……皮肉か、それ?」
「さあ?」
ふたりは笑った。
夏原の笑顔がまぶしかった。