まだあなたが好きみたい



でも実際、俺に思うところがあるのではないのかと匡は折節に考える。


それなのに、おくびにも出さない夏原にはほんとうに感謝している。



いつか一緒のコートに立って試合がしたい、そう思わせてくれる存在にまで大きくなっている。




「ところで、マジでそのほっぺた、どうしたん?」


「……ちょっと、迷走してな」


「女?」


「わかるか?」


「はは、まーね」



匡は悔しそうに湿布に触れる。



「でも、悪くないよ。なんか、窪川もふつうの人だーって感じする」


「……皮肉か、それ?」


「さあ?」



ふたりは笑った。




夏原の笑顔がまぶしかった。


< 170 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop