まだあなたが好きみたい


……でもそうじゃないとわかると、いろいろと心境に変化もあった。


といってもあいつと別れたことを後悔しているわけではない。そんなセコイ男じゃない。



なんというか、彼女との別離ををもっと簡単に考えていた自分がひどくちっぽけで、だからこそいたたまれなれない思いがしたのだ。





「食べながらでいいから聞いてくれる?」





よっぽど恨めしそうに睨んでいたのだろう。困ったように女はそう言って、外している俺の前の席に躊躇なく腰を下ろした。



ラップをめくって豪快にかじる。




「あんだよ」




女は憚るように周囲を見回してから、あのね、と匡に顔を近づけた。


すると、抗えない甘い香水のにおいが鼻腔をかすめ、うっと険しい表情になる。


匡は息を止めておにぎりに歯を立てた。




「窪川って、霧生の桧葉有正くんって、知り合い? てか友だち? 同中だよね?」


「はあ? 有正? 友だちじゃーねーけど、まあ、一応知り合いだな」


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