まだあなたが好きみたい
「ほんと?」
弾かれたように彼女は俺に詰め寄った。
「お、おおー。つっても、すぐにとはいかないかもしんねぇけどな」
「それでもいい。ぜんぜん! ありがとっ」
飛び跳ねるように教室を出て行った彼女を見送り、匡は食べかけのおにぎりを再びかじり直しながら、さてどうしたものかと思案した。
なにしろはじめてだ。こんなこと。
叶えられる見込みのない約束を、情に流されて安請け合いしてしまうなんて。
俺としたことが。
だが今さら断れるはずもない。
自分の中の何かが確実に変化し始めている予感に匡は唇を引き結ぶ。
しかし打ち消すこともできず、匡はただただ戸惑う気持ちを持て余した。