まだあなたが好きみたい
一方の菜々子はというと。
冬休みをいよいよ目前に控えた頃になってようやく怒りが鎮火したところだ。
おかげで期末テストは散々な出来だった。
わかるはずの問題が急にわからなくなってパニクって、他の問題にまでその影響を受けると、後はほとんど芋づる式に迷走して、結果めちゃくちゃな答案用紙になってしまった。
突出していいわけではないにせよ、一応、順位としては上位のほうを無難にキープしていた菜々子は担任からもよく目をかけられており、今回の急落ではずいぶんと心配された。
『こんなときは甘いものだよ菜々ちゃん。ぼくがご馳走してあげるから元気だそ』
有正にも心配をかけ続けている。
もしまた電車で窪川と会うことになっても自分が盾になってあげるからと、あの日以来、有正は菜々子から片時も離れることなく登下校を共にしてくれていた。
今日は、例のあのときのことも含め、菜々子を元気づけるために有正が気を利かせてくれたのだった。
菜々子は有正に案内されるままたどり着いたファミレスの一席でメニューをめくり、申し訳ない思いで値段ばかりを見比べている。
「クリスマスチョコレートデラックスパフェがいいんじゃない?」
有正が指差したパフェに視線を投げて、菜々子はぎょっと目を剥いた。