まだあなたが好きみたい
「ぜ、ぜんぜん大したことなかったな!」
本来の自分を取り戻そうとするかのように尊大にあごを上げた。
「強いのはバレー部の方みたいだから」
「じゃあなんでバスケの応援に来たんだ」
「バレー部が今日は試合じゃないからよ」
「興味があるのかよ」
「別にないけど」
「じゃあ興味があるヤツでもいたのか」
「いない」
「だったらやっぱり俺に言いたいことがあってきたんだ、そうにちが―――」
「そういう見方でしか物事を判断できないの?」
菜々子は彼の言葉を遮ると、大袈裟に息を吐いた。
「ただの応援よ。学校から命じられたから来ただけ。ギャラリーをそれなりにするためにね」
一応、有名校の部類に入る彼の学校は応援する人の数も期待に比例してすごいのだ。
そんな殊勝な意図なんてなかったけど、今となってはギャラリーを埋めて士気を保たたせるくらいのフォローはしてよかったと素直に思ってる。
と、いきなり彼が舌打ちをした。
「もう二度と会わないと思ってたのによ」
顔を背け、そう吐き捨てた。