まだあなたが好きみたい
突如、窪川の臀部に痛みが走った。
反射的に手を離し、弾かれたように振り返る。
白井だった。
彼の尻があったところに、白井の膝がそのまま宙に浮いて止まっている。
嫌悪を剥き出しにした冷徹な眼差し。
それを受け、窪川の目つきがいっそう険悪なものになる。
「白井、てめぇ……」
「そういうところが本っ当に嫌いなんだよ。チームは秩序と信頼で成り立つんだ。単独行動は慎め。何回言わせる。学習しろ」
「んだとこら」
「夏原が優しいからって何でも言いなりになると思うなよ。そういう態度が後々響いてくるんだからな。てめぇごとき、俺が明日にでもひねり潰してエースナンバーを奪ってやる」
「言ったなこら。そのでかい口、二度と叩けないようにしてやる」
「減らず口が。いい気になってられんのも今のうちだ」
「ふ、ふたりともやめろって! なんで今度はおまえたちが喧嘩なんだよ! もうあの人たちも行っちゃったし、さっきの子達ももういないんだから俺たちがここにいる理由もないだろ。早く戻ろう。じゃないと本格的にしぼられちゃうからさ」