まだあなたが好きみたい
夏原に言われ、しまったと思い出したときには連れが男の手を引きながら、這々の体で逃げて行くところだった。
「くっそ!」
地団太を踏む窪川に、だから! と夏原が癇癪を起こしたように叫ぶ。
ふんっと白井がわざと音を立てて鼻を鳴らした。
「いいだろ夏原。こんな足手まとい、付き合ってやってるだけバカらしい。俺たちだけで帰ろうぜ」
「おいこら。なんか言ったか、あ、白井?」
「あ? やんのか、この見かけ倒しが」
「上等じゃねぇか」
「二人ともいい加減にしろっ」