まだあなたが好きみたい
「はああ? は。おまえ頭おかしいんじゃねえの? それはむしろ俺の科白ですけど」
「だってわたしに落ち度はないもの。勝手に誤解して勝手にわたしを着けてきて、一方的に暴言を吐いたのはあなたよ。その償いをするのは当然だと思いますけど」
「冗談は顔だけにしろよおまえ……」
彼は掌を拳に握った。
「俺はただな―――」
「それに、わたしに不審を抱いてびくびくしてるのは、自分に負い目を感じる何かがあるせいでしょ? それを払拭するチャンスを与えてあげようとしてるのに断るなんて、賢明とは言えないんじゃない?」
窪川はかっと目を剥いた。
「だっ誰がびくびくしてんだよ! 負い目? ハッ、おまえに? 俺が? 何のことだよ。与えてあげようだなんてよく言えるな。これだから面の皮が厚い女は―――」
「これだからスポーツマンってきらいよ。知能が低くて。挙げ句、単細胞で、口は悪くて、安っすいプライドでガチガチに自分を守って上から目線。話してるこっちがはずかしくなるくらいダサイったらありゃしない」
満身の力を込めて、菜々子は凄んだ。
彼の鼻が膨らむのが見えた。