まだあなたが好きみたい
「そう…。でもそれだけじゃクラスメイトかどうかはわからないわよ」
「そりゃそうだよ。でも、それ以外で接点ありそうな他校生なんて思い当たらないし」
本来、他人のことなど欠片も意に介さない有正だが、思いがけず積極的にアプローチされればさすがに記憶に残るということか。
それはいい傾向だと思った。
同じ学校に、残念ながら有正に惹かれてくれる人はいない。
顔に惚れても性格がそれを覆す。
同じ空間で日常を共にしない人だからこそ、彼の本質のみに目を向けられるのではと期待する。
だって彼の欠点は、集団の場でこそ顕著に発現されるものだから。
わたしはその子、悪い選択じゃない気がするけどな、と思いつつ、しかし本人が乗り気でないなら無理意地いはできかねる。
「ふうん。じゃあ無視してもい?」
「もちろんだよ。そもそもあいつと友だちって時点でないよ。誰彼構わず仲良くする人なんて冗談じゃないってね。ところで今日の菜々ちゃんちの夕飯なぁに?」