まだあなたが好きみたい
行く年、そして来るは不穏な三が日
一月二日。
乗り気はしなかったが、親戚周りはもっと気が乗らなかったので、有正に誘われたのを言い訳にして菜々子は初詣にやってきた。
「二日なのに込みすぎじゃない?」
「二日だから込んでるのかもよー?」
菜々子はすくうように有正を見上げる。
「だとしたらこのへんの人みんな、なかなかの神信心ね」
「甘酒が呑みたいだけだよ」
菜々子たちは境内の列に加わって、15分待った末にようやく賽銭箱の前に到着した。
「神さますみません、今日という日になんとぼくは財布を忘れてきてしまいました。納めるものは何もありません。でも、よい年になりますように」
「なんてやつなの」
「でもさ菜々ちゃん、初詣に五円玉ってどうなの? ケチなの? それともガチでご縁が欲しいの? 今日ってそういう日じゃなくない?」