まだあなたが好きみたい
「そう、その先輩も一緒だったの。今はカフェでお茶してるから当分出てこないと思う」
「なんだ、それならそうと早く言ってよ。大変だ。今すぐここを出ないと。んもー、何で菜々ちゃんの周りにはこう変な男しかいないのかな」
それは明らかに窪川に対する当てこすりだったが、当の本人は思案顔で沈黙している。
固い表情になればなるほど、かわいらしい福袋が余計に浮いていく。
「そうと決めれば善は急げだよ。バスは一時間に一本だから、うまく行けば今の時間帯のに乗れる」
二人は窪川を置き去りに停留所に向かって歩き出した。
そのとき。
「なあ――よかったら、うちの車に乗ってくか?」
なんでも、別行動を取っているが実はここへは父親と一緒に来ていて、後は家に帰るだけだという。
地元が一緒の二人なら問題はないだろうとのこと。
ためらいがちの申し出に、二人は顔を見合わせた。