まだあなたが好きみたい
「えっ!?」
思わず大きい声を出して、匡は慌てて口を塞いだ。
裏路地の静寂が破られた気配はない。
息を呑んでもう一度、問題の箇所を口の中でさらった。
(これをしたためたのは、あんたに渡したいものがあったから……?)
すぐ左の茂みの中、との指示通り、匡は艶やかな椿が咲き誇る隣家の植え込みを覗き込んだ。
果たして匡はちょうど片手に収まるサイズの小さなビニール袋を発見した。
中が透けて見える素材で、思わずあっと息を呑む。
それはあの一月二日、彼の誕生日のマスコットだと高慢に示したあの黒猫だった。
「欲しかったんでしょ? って……」
読みながら、匡は複雑に苦い笑みをこぼした。