まだあなたが好きみたい
果たして次の日。
教室に着くなり、匡は昨夕の二人の不可解なすれちがいが彼の気のせいではなかったことを知った。
彼が彼女たちを特別気にかけていなければ、しばらくは気づかなかったかもしれない。
けれど、なにかあったのかという疑念を持ってクラスを見渡せば、それは無視のしようもないほどに歴然としていた。
明らかに互いを意識して遠ざけている険悪な距離感。
めずらしい級友との組み合わせ。
それが気まぐれではないことを、混ざられた側も感じているのだろう。
困惑した表情が固く、無理もないが、どこか鬱陶しげだ。
(喧嘩、か?)
彼女たちの間にできたであろう亀裂は、午前の授業を終える頃にはクラス中の生徒が認識していた。
それほど二人の絆は堅固なものだったのだ。
「あの二人、なんかあったのか?」
「は?」
準備室。
匡は昨日、部活顧問の原西に言われていた書類、今学期の練習課題についてのシートの直しを提出に行って、ついでとばかりに問われた質問の意味を取りかねると、小首を傾げた。