まだあなたが好きみたい

「なにを冴えない顔してんだよ」


顧問の原西だった。


「寝むいだけっす」

「水族館でそんな顔はナンセンスだぞ」

「……」


なんだこいつ浮かれてるな。


「こーんなメルヘンチックな場所で悲壮感たっぷりなやつって、全国でもおまえくらいじゃないか。スマイルスマーイル」

「先生は楽しんでますね」

「おっさんひとりじゃあ日ごろなかなかこんなところに出入りできないからな」

「でしょうね」


匡の皮肉が届いているのかいないのか、原西は、ほらあっち、と声をひそめてある方向を指差した。

は? と匡は視線を向ける。


「尾田じゃないっすか」

「あれだよ、彼氏」


マジでいたんだ。

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