まだあなたが好きみたい
有正はくるんっと踵を返すと、またてくてくと歩き始めた。
「パパは牛乳屋、パプアニューギニア」
「今日、吉田はどうした?」
「一本でもにんじん。二足でもサンダルー。三艘でもヨーット。よん、よん? よんよん、んー」
「おまえ、部活だったのか?」
「あかまきまきあおまきまききまきまき」
「なあ、最近吉田ってどうしてる? 元気にしてるのか? 正月会ったっきりだから、どうしてるかなって」
と、有正がぴたりと足を止め、気だるそうに振り返った。
向けられた眼差しにはいつにない険しさがある。
「うるさいよペスト星人。おまえが菜々ちゃんの様子を知ってどうするんだ。関係ないだろ」
「俺、吉田のことが好きなんだ」
いっそう厳しい顔つきになって有正が近づいてくる。
「口先だけでしょ。またそうやって菜々ちゃんを利用しようとしてるの? 今度は何? かつあげ? 暴力? それとも誘拐?」