まだあなたが好きみたい


特別。



それが厄介なのだ。


好意的なものにしろその逆にしろ、彼を特別に見るという行為自体が少なからず彼を孤独にする。


それだって結局は本人の受け取り方次第なのだが、いくら気位の高い彼とはいえ、その扱いに素直に満足できるほど性根の曲がった人ではないことくらい菜々子でも知っている。



だって、彼はひとたびバスケの外に出れば、引く手あまたに友だちに囲まれて笑い合う、賑やかなことが大好きな気質の人なのだから。



言い返す言葉を探しあぐね立ち尽くす彼は、必死に頭の引き出しを漁っている。


泳いだ目からそれが手に取るように伝わった。



「だいたい、丸々試合に出場したからってそれが自慢になるの? 一軍だから、なに? ほんとうにすごいんだったらチームの最終兵器になりなさいよ」



だからといって同情とこれとは別だ。



「どういう意味だよ」


「簡単に投入されるのって、それほんとに頼りにされてるからなの? むしろそれだけ大事にされてないってことでしょ? ここぞってときまで温存されて、とことん出し惜しみされてこそ、信頼なんて大層な言葉も使えるんじゃない?」




上手い言葉で持ち上げられて体よく利用されてるだけなんじゃないの?




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