まだあなたが好きみたい
匡は息をのんだ。
「真野、そう、睦美。ファミレス、で」
「どういうことだ! 睦美をどうしておまえがホテルになんか!」
胸倉を掴まれても有正はなされるがまま、魂の抜けた顔で言葉を続ける。
「おまえも、知ってるはずだ。電車で菜々ちゃんが会った、眼鏡のやつ。あいつだ。あいつに、頼まれた。あいつは、睦美って子に、用があるらしい」
「てことはなにか、おまえは睦美がおまえのことを好いているっつーその気持ちを利用して、睦美を眼鏡の元に連れて行ったのか?」
まるで誰かのことじゃないかと、気づきながらも匡はそれを棚に上げて詰った。
すると有正も、自分だけが怒鳴られる立場にはないはずだと思い出したように、鋭い目つきで匡の手を弾いた。
「ぼくは、おまえとはちがう。これは、正当な、正義だ。そうだ。ぼくだって、ぼくにだって、守れるんだ、から」
守られてばっかじゃ、ないんだ……!