まだあなたが好きみたい
俺があんまりバカだから。
匡は自嘲した。
俺がたとえば、親父とか東みたいだったら、きっと誰のことも傷つけず、後ろ暗いこととも縁遠く生きられるはずなのに。
(いや、そんなのはさすがにごめんか)
匡はいかにも凡庸な彼らを取り巻く空気を思い返し、すぐさま打ち消すと、
(今日のことはもう忘れよう)
と己に言い聞かせた。
悪い夢を見たと思うことにするのだ。
睦美のことは、悪いが家族がどうにかしてくれるだろう。
薄情だという自覚はあるが、彼女とは正直もう関わりたくない。母の意向もある。
俺はもう、悪い輩とも、危険な遊びからも足を洗うと心に誓って、今の学校を選んだのだ。