まだあなたが好きみたい
「あ? まだなんか言いたいことがあるのか―――」
「もう、ここまででいい」
ふるえそうになる声を叱咤して、菜々子は限りなく毅然とした口調で言い直した。
「ここまでってなにが―――ああ、家へ送ることか。いや、いい。そんくらいはしてやる。もう二度と俺に近づかないっつー盟約のための条件だからなこれは。だからおまえのことは、ちゃんと、俺が、家まで送る」
ふんぞり返るように言う彼を菜々子は暗い目で一瞥して、力なく首を振った。
「いい、べつに」