まだあなたが好きみたい



(―――そう…だよな)




言わせた。




そう自ら認めてしまって、匡は舌打ちした。



彼女が自分でそうしたんじゃない、あれは。


俺がああ言わせた。



最終的に言ったのは彼女でも、そこまで追い込み、仕向けたのは俺だったかもしれない。



去り際に見せたやりきれない表情が目に焼きついている。



そして、思い出さないよう努めようとすればするほど、見たくない記憶に引きずり込まれた。



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