まだあなたが好きみたい
少女が見える。
一年前の彼女だ。今よりもあどけなさが強い。
気丈に振る舞う淡い笑みが見える。
たくさんの生徒の間からかすかに見える彼女の姿はわずか10センチもない。
それでも彼女だと一瞬で見分けられた。
しかし彼女は俺にはまったく気づかない。
強いて気づかないようにしているわけでもないのだろうが、意図して離されたこの救いようのない距離と、容易く忖度できる彼女が受けただろう心の傷は、以後二度と彼女の視線が俺のもとへ注がれることはないという予測可能の未来を如実に物語っていた。
一年と、正確にはすこし前、俺は彼女を傷つけた。