まだあなたが好きみたい
二度目は、あった。
なら、今度も―――。
と、内側からふわりと胸を押し上げた高鳴りを、しかし彼は意図してそれが不十分な段階で打ち消した。
今日は、奇跡だった。
でもそれは試合があったから。
今日以外の日で、彼女と再会しそうなシチュエーションを思い描けない。
俺は電車通学ではないし、学校に来るのに稀に線路をまたぎこそすれ駅舎そのものに近づこうと思えば迂回覚悟で通学路を変えるしかない。
それは俺の矜持に関わる。
自ら彼女を求めることだけはしない。
彼女は振り返らない。
ならば俺も振り返るまい。