まだあなたが好きみたい
そう自らに言い聞かせたとき、いきなり呼吸が乱れて、立ちくらみのように視界が揺れた。
痙攣したみたいに脚が急に動かなくなって、匡は思わずつんのめる。
汗が滲むほどの気温と湿気がありながら、すごい勢いで手から熱が奪われていく。
息を吐く。
なさけねぇ。
思いを断ち切るって、意外と、1回目より2回目の方がしんどいんだな。
(しんどい、か)
積もる寂寥。
柄にもない弱気な自分に苦笑しつつ、匡は歩き出した。
空は見渡す限りの黒。
覆われた雲は厚く、閉ざされたように太陽は遠い。