まだあなたが好きみたい

「ほんと、久しぶりだね。1年弱?」

「卒業式以来だからなー」

「今日部活とかは?」

「休み。ずるじゃねーよ」

「べつに疑ってないよ」



東は中学のころ、菜々子がわりに気負わず話せる数少ない男子のひとりだった。


気性が穏やかで根は素直、されど相手によっては怖気たり、おとなしくなって、ともすれば後ろに引っ込んでしまうところがあった。


でも、女々しいなんてこれっぽっちも思わなかった。


自分もそういうタイプだから、むしろ人を選んで立ち回らざるを得ない窮屈さを知っている彼を菜々子はとても近しく感じた。


華やかさとか騒がしさとは、お互い無縁のところで過ごしていたから、もしかすると東も同じことを思っていたのかも知れない。


それは、久しぶりの再会でもこうしてすんなりあの頃に戻れる心地よさからも窺えるものだった。


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