まだあなたが好きみたい


恋人同士でもない男女がいっしょにいればそれは嫌でも関心を買い、あらぬ噂も立てられる。


女子はなべて口さがないのが常であり、しばらくは今のような疑問がついて回って七面倒だが、それもそのうちただの目付け役だと誤解も解ける。


それというのも、有正は、見た目は決して悪くない。

どころかむしろけっこういけてる部類に入るぐらいのイケメンなのに、天邪鬼で皮肉っぽいゆがんだ性格と薄笑いが影響して人を自然と離れさせてしまうため、そこでようやく幼馴染というレッテルが役に立つのだ。



だから彼女が一緒にいてあげてるんだね、という納得。



変だけど。



菜々子たちの関係の無害が浸透する。



それもどうかって話だけど。



もっとも、不快な噂が立ったところでそれで有正を遠ざけるなんてことは菜々子には絶対できないのだ。




……まあ――もっと小さい頃、思春期に入りたての頃なんかはすこしだけ、彼と行動を共にするのがいやな時期もあったのだけれど。



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