まだあなたが好きみたい
(無理しなくても、ね)
いいんだ、けど。
なら、
わたしは――
無理は。
しないとか――
ありえないでしょ。
それじゃあ負け戦になるって、わかってるし。
自ら思い浮かべた言葉の残響を菜々子はすぐさま打ち消した。
これはただ、
東はそれでいいって、そういうこと。
「でも、言ったってときどきは今みたいに駅で同級生と会ったりするでしょ?」
「まあ。だけど吉田ほど気軽にしゃべれる女子と同じ時間帯の電車になったことないから」
だから白状すると実はひそかに見てたんだ、吉田のこと。
東ははにかみを隠すようにしてそう言った。