まだあなたが好きみたい
次いつ東に会うのかはわからない。
けれど、そう遠くないことは漠然と予感できる。
なにか、考えないと。
気が重い。
菜々子は、気づくとポケットの冷え切ったホッカイロを握っていた。
あいかわらず、かっこよかったな。
(って、ばかじゃない)
さっきの今でこんなことを思う自分に顰蹙で、ほんとうに最低だと自覚する。
それでも、東への責任を回避したいという思いが逆に原動力となり、菜々子の胸を熱く焦がす。
窪川に会いたい、と思ってしまう。
硬くこわばった石炭を手のひらで遊ばせるとすこしだけ気持ちが安らいだ。
取り直し、菜々子はひとり家路をたどった。