まだあなたが好きみたい
俺の心臓、瀕死すれすれ。
更衣室に戻り、冬場の今にしては多すぎる汗をぬぐいながら、
(そりゃあボールもおろそかになるわ……)
と、へんなところで冷静に分析する。
ここまで自分を見失いそうになった経験は、かつてない。
ましてや女のことでなど。
今はだいぶと落ち着いたけれど、それでもまだなんとなく据わりの悪い感じがする。
そのせいか、いつもならそろそろ鼓動が落ち着いてきてもいい頃合いなのに、ちっとも呼吸が楽にならない。
……それもそのはずだ。
今の俺、すげぇ必死な顔してる。
なに、この顔笑える。
見たことねぇ。
開いた瞳孔、火照った頬。
対照的に、青い鼻頭のなんとも薄気味悪いこと。
まして全体的に土気色だし。
どうした俺。