まだあなたが好きみたい


ふと匡は蚊に刺されたような痛みを首筋に感じ、ひそかに暗い気持ちになった。


先輩と戯れていると否が応でも感じるのが同級生からの視線だった。



いつものこととはいえ無視しきれず、鏡越しに窺うと、やはり同級生部員と目が合った。


気づいてか知らずか、連中はふっと目を背け、素知らぬ様子で着替えを続ける。


匡はひそかに唇を噛んだ。


……わかりやすい怨念めいたものを放出するわけではなく、そんな視線にさえいちいち反応してしまう自分が悔しいのはたしかにそうだが、

だからといって気になるものは気になるのだし、いたずらに神経を逆なでされるのは歓迎できない。


先輩が同じ空間にいなかったら間違いなく舌打ちしてる。



言いたいことがあるなら言えばいい。


どいつもこいつも。


なにも肝心なことを口にしない。


俺が気に入らないくせに、顔色ひとつにびびんなよ。


馬鹿な奴らだとつくづく思う。


偏見でものを見て、勝手に下手に回って。


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