HとSの本 ~彼と彼女の話~
エピローグ~雨上がり~
 黙々と、お昼ご飯を食べていた。
 隣には、紅い翼の少女。
 普段からパン食だったのだが、それを久しく見ていないせいか違和感がある。

 そして、ちらちらとこっちを見ていた。
 まあ、それは自分も同じなのでたまに視線が交差する。

 昨日の今日なので、訳のわからないきまずさが漂っている。
 さてどうしたものだろう。
 今まで、どうやって彼女と話していたんだっけ。



「あ――――」



 今さらだ。
 本当に、今さらな事に気付いてしまった。しかも修正が出来るのかすら危うい。
 頭を抱えて唸りたいところだが、変な奴だと思われたくはない。
 暴れだしたい衝動を自制し、問題解決のために思考する。

 ……と言っても、他に解決案などない。
 一つのシンプルな答えだった。

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