HとSの本 ~彼と彼女の話~
 俺は……



 わたしは……




 この人の名前を、まだ知らなかったんだ!

『あの――――』

 二つの声が重なった。
 それだけでなく、次の言葉も同じだった。



 ――貴方の名前を、教えてください――



 春の匂いが広がる、ある木漏れ日の昼下がり。

 この日、自分たちは

 かけがえのない友達が出来た







Fin
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