HとSの本 ~彼と彼女の話~

彼の決意

 突然立ち上がって走り出した彼女。

 立ち上がる寸前に見えた顔は、赤らんでいた。

 どうしてだろうと、

 時計の秒針が一周するまで考える。


「恥ずかしかったのかな」

 笑いがこみ上げてきた。

 思わず、腹を抱えて草原を転がりまわった。


 ――悪魔の子――


 そう畏怖される存在は、
 お腹を空かせて途方に暮れていた、
 どこにでもいる面白い少女だった。



 笑った顔が、見てみたいな

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