みんな、同じ。
あ。
半径1m以内くらいに入って、ようやく気付いた。
お父さんに、似てるんだ。
うん、その通った鼻や、薄い唇。
全く焼けてない、真っ黒な髪。
お父さんに、そっくりだ。
「あの…」
初めて、声を聞いた。
うまく言えないけど、大人っぽくて、少し掠れてて、低い。
そんな、声だった。
「あ」
私の胸元を見て、何か気付いたみたい。
「久世って…」
彼の胸元にも、同じ苗字の名札があった。
この人が、私のいとこなんだろう。
そう、確信した。
「はじめまして。
久世 貴臣です」
たかお、み。
男の子っぽい名前だ。
「……くぜ、い…」
「知ってます。
久世 祈さん、でしょう?」