みんな、同じ。



彼は、そう笑った。

知ってます、って。
私は、知らなかった。

どうして、知ってるの。
他に、何を知ってるの。

少し、怖くなった。

「気を、悪くしないでくださいね。
母が、言っていたのを少し聞いてて。
それだけです」

他には、何を言ってたんだろうとか。
いろいろ考えそうになって、首を横に振った。

「………っ」

激しく首を動かしすぎて、すこしクラッとした。

「だっ、大丈夫ですか!?」

ハッとしたようなその人は、私に手を伸ばしてきた。

その手が、私の肩に触れた。

あれ。
嫌じゃない、な。

ぐちゃぐちゃであろう髪をなおそうと、触れられていない方の手で、髪に触れた。

やっぱりぐちゃぐちゃだ。


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