みんな、同じ。



「たかちゃんって呼ぶわね!
いやー、そっくりね、あなたたち!」

嬉しそうな、お母さん、の声。

いつもはあるはずの、今日はないもの。

私はしばらく、玄関に立ち尽くしていた。

そして、考えた。
あの人は、ちゃんと返事をして、お母さんを…喜ばせてあげられたんだろう、と。

私だって。

小さなわだかまりを抱えて、音を立てないように、靴を脱いで、二階に上がった。

…私だって。


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